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薬剤師は景気の好不調の波を受けにくい人気の業種です。しかし、人生の多くの時間を費やすわけですから、やはり、よりよい処遇・よりよい人間関係・よりよい職場環境を求めたいものです。一度しかない人生です。ユーザーのみなさまが、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

コラム:薬剤師を取り巻く環境「再編・淘汰が進む調剤薬局」

医薬分業のあるべき姿として、今日でも高い評価を得ている報告書「薬局のグランドデザイン」。日本薬剤師会の若手薬剤師が主体となって1997年に策定したものですが、現在でも通用する示唆に富んだ内容が盛り込まれています。

そこで、グランデデザインをもとに当時の状況と現在を比較してみましょう。

グランドデザインが目指した数値と現状の実態が最も異なるのは薬局数です。薬局数はグランドデザイン策定時に約3万9,000施設あり、2005年までに1万9,000施設が淘汰されると予測していました。

しかし、現在は当時よりも1万5,000施設も増加しており、グランドデザインが想定した適正薬局数の倍以上となっています。

「適正薬局」とは、休日夜間対応を含めた薬局サービスができる一定規模の、「自己完結型」薬局を指すもので、薬剤師4人(常勤3人)、事務職員2人、年間処方せん応需枚数3万5,000枚、年商1億6,000万円と想定されました。

直近の「医療経済実態調査」によると、薬局の年商は平均で1億6,227万円、個人経営が9,640万円、法人が1億6,872万円でした。数字を見る限り、年商ベースではほぼ想定内といえます。

しかし、グランドデザイン策定時と比べると、1薬局当たりの処方せん枚数は目標の年間3万5,000枚に遠く及ばない1万4,000枚弱にとどまります。これはグランドデザインが目指した自己完結型薬局に達していないことを示すものです。

一方、処方せん1枚当たりの単価、薬剤費は格段に上昇しています。主に3ヵ月、6ヵ月といった長期処方の増加によるものです。

薬剤費の比率や人件費高騰によって、粗利益は35%から25〜27%まで低下しており、経営的にはより厳しくなっています。

調剤薬局業界は大手チェーンによる多店舗展開が依然として旺盛です。最近は薬局開設の好立地が少なくなってきたことから、既存薬局に対するM&Aが激しさを増しています。専門のM&A担当者が直接店舗に出向き、従業員ごと引き受けるといった引き合いが多いです。

逆にいえば、中小薬局にとっては厳しい時代に突入したということでもあります。

厚労省の「医師、歯科医師、薬剤師調査」によると、薬剤師数(届出数)によると、総数では27万6,517人でした。

男女比では男39%、女61%で全体でも女性の数が多くなっています。就業状況では薬局(ドラッグストアも含む)が最も多く、全体の52%を占めます。

同調査で注目すべきは「薬局の従事者」に占める「開設者・代表者」の推移です。医薬分業の進展で薬局数、薬局に従事する薬剤師数は右肩上がりで推移していますが、開設者・代表者は絶対数、構成割合ともに減少傾向にあります。

これはほとんどが個人経営の薬剤師を示すと考えられますので、次第に単独店が生き残るのが難しくなっていることを物語っているのではないでしょうか。

参考になさってください。

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