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薬剤師は景気の好不調の波を受けにくい人気の業種です。しかし、人生の多くの時間を費やすわけですから、やはり、よりよい処遇・よりよい人間関係・よりよい職場環境を求めたいものです。一度しかない人生です。ユーザーのみなさまが、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

コラム:薬剤師を取り巻く環境「現状の医薬分業体制への危機感」

医薬の分業率は従来、70%が限界と見られていました。

ただ、現実に82.2%もの分業率を達成している秋田県や80%台に追っている地域が10都道県もあることを考えると、「70%限界説」は軌道修正する必要がありそうです。

有識者に面談・アンケートして分業率の上限予測を聞いたところ、「80%限界説」が38.4%と約4割、「70%以上」、「90%以上」とするのがそれぞれ30%程度と分かれました。

前記の投薬対象患者数の減少と処方せん枚数の伸びの鈍化等を勘案すれば、80%台に突入した段階で処方せん枚数は頭打ちになると考えられます。

患者動向等から弾き出される処方せん発行可能枚数は、年11〜12億枚と推定されます。

現在64%の分業率で年間に7.4億枚の処方せんが発行されていますが、完全分業(100%分業)の場合、残りの処方せん枚数は3.6億〜4.6億枚。80%を限界と見た場合には1.4億〜2.2億枚、90%の場合は2.5億〜3.4億枚ということになります。

「調剤医療費は約6兆円。そのうち技術料が約1兆5000億円を占めている。それだけの医療費のシェアを持つ以上、それに伴う保険薬局の責任も増してくることを認識していただきたい。今以上に保険料や税の形で国民に負担をいただくためには制度自らが効率化の努力を行う必要があることを自覚していただきたい」

「(国の)医薬分業の推進という、いわば外的な要因で調剤マ−ケットが伸びてきたために、財源を獲得していく努力がいかに大変なことかを業界として必ずしも自覚することなく大きくなってきたのではないか」

厚生労働省の社会保障担当参事官室長・武田俊彦氏(当時)が日本薬局学会総会の特別講演で語った内容です。

ちなみに、同氏は厚労省の事務次官の有力候補と目されている人物です。

武田氏の発言は、「社会保障と税の一体改革」を推進する厚労省の立場から、公的資金で賄われている医薬分業とそれを担う薬局・薬剤師の在り方を根本から問い直したものと受け止められます。

同省高官が公の場で真っ向から薬局・薬剤師の在り方に言及したのは異例のことで、それだけに現状の医薬分業体制に危機感を持っていることが窺われます。

実際、医薬分業に対する問題提起は様々な場面で行われてきました。

2001年、総務省は「医薬品に関する行政評価・監視結果」に基づき、「医薬分業の実施状況を把握して本来の目的が達成されているかどうかを評価し、その結果、必要な場合には医薬分業およびその推進に係る施策の在り方を検討すること」などとする勧告を厚労省に提出、国家予算を使った推進策や補助金事業の効果に疑問を呈しています。

こうした勧告もあって、厚労省は2002年、政策誘導による分業推進策からの撤退を発表、今後は「国民の判断に委ねる」(薬務主管部課長会議)方針を打ち出しました。

このことは、国の誘導策に依存してきた医薬分業が当事者の自助努力に任されることになったことを意味します。

「これまでのビジネスモデルは通用しなくなった」といわれるのは、この政策転換によるところが大きいのです。

参考になさってください。

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