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薬剤師は景気の好不調の波を受けにくい人気の業種です。しかし、人生の多くの時間を費やすわけですから、やはり、よりよい処遇・よりよい人間関係・よりよい職場環境を求めたいものです。一度しかない人生です。ユーザーのみなさまが、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

コラム:薬剤師を取り巻く環境「ドラッグストア、調剤参入の狙い」

ドラッグストアは「第2次成長期」に入ったといわれています。これまでドラッグストア業界は利便性と低価格、規模の拡大を基調に成長してきましたが、少子高齢化の進行、改正薬事法施行に伴う競争激化等を受けて、新たな成長戦略を模索する段階に至っています。

課題は明確です。規模の拡大、スケールメリットの追求といった従来の手法から、総人口減少・高齢者人口の増加に対応した、狭小商圏での新たなフォーマットづくりです。これによってドラッグストア産業の市場規模を現在の2倍、10兆円産業が可能になると見ています。

ドラッグストアは約1万6000店舗。計算上は商圏人口8000人に1店舗の割合となっています(日本チェーンドラッグストア協会調べ)。

目指す狭小商圏では4000人に1店舗の割合で出店することになりますが、現在のフォーマットのまま店舗数を増加させるだけでは生活者ニーズを取り込めないばかりか、同じように狭小商圏での挑戦を始めているコンビニやスーパーなど異業態と正面から競合することになります。

狭小商圏での展開は「地域密着」「個別への対応」「自店へのマーケットシフト」「新しい満足と需要創造」などが条件となるはずです。また、それらを側面からバックアップするために業界全体として、EDI(電子データ交換。企業間で、標準化されたデータをコンピュータ経由で自動連携し、業務の効率化と価値の創出を図ること)の導入、ドラッグストアの特性としてのスタンダードソリューション機能などのインフラ整備が必要になります。

その上で、各社が出店戦略、価格戦略、MD戦略(商品戦略)、システム整備などを進めることになります。従来のドラッグストアは投資の短期回収と利益の最大化が命題でしたが、市場の拡大が期待できない今日では利益が着実に、将来ともに役立つモデルになるような経営が必要になります。

さて、ドラッグストアが狭小商圏ヘマーケットシフトを図る上で最大の課題となるのが、医療・健康分野の取り組み、すなわち、「調剤参入」と「セルフメディケーションの推進」であることは業界共通の認識になっています。

その先には、在宅医療・介護、高齢者施設との連携なども横たわっています。こうした取り組みによって、狭小商圏における異業態との差別化につなげるだけでなく、高齢社会における健康や日常生活にかかわるニーズを充足させることができるというわけです。

調剤に関しては、現在の医薬分業が門前薬局を中心とした点分業であることに対し、地域で展開するドラッグストアの分業が面分業の形態であることが強みになります。

また、OTC医薬品やサプリメント、介護用品、衛生用品などを扱うことで、生活者に身近な場所で病気、医薬品、健康問題について相談できる機能を備えることができます。現在ドラッグストアの医薬品の売上構成比は大衆薬を中心に約3割ですが、調剤参入によってこのウエートは上昇していくことになるでしょう。

すでにココカラファイン、スギ薬局(スギホールディングス)、マツモトキョシホールディングス、ウェルシアホールディングス、CFSコーポレーションなどの大手ドラッグストアは調剤売り上げで上位15社以内までにランクインしており、急速に調剤の売り上げを伸ばしています。

調剤薬局各社は同業者間の競争に加え、ドラッグストアという最大の競合相手を迎え撃たなければならないのです。

参考になさってください。

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