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薬剤師は景気の好不調の波を受けにくい人気の業種です。しかし、人生の多くの時間を費やすわけですから、やはり、よりよい処遇・よりよい人間関係・よりよい職場環境を求めたいものです。一度しかない人生です。ユーザーのみなさまが、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

コラム:薬剤師とセルフメディケーション「入院療養から居宅療養への移行」

患者さんが年をとって通院困難となったとき、入院や施設への入所を希望するでしょうか。

自宅で治療が受けられ十分な介護が受けられれば自宅にいたいと思うのではないでしょうか。

また、自分が死を迎えるとき、どこで最期を迎えたいと思うでしょうか。

厚生労働省による受療行動調査の結果においても「完治するまで入院を望む」などの入院生活を望む患者割合が平成17年度には57.7%だったのに対して最近では48.8%と8.9ポイントも減少しています。

残りは広義の意味での在宅療養を望んでいる事となり、10%弱の増加です。

経済的に考えても入院生活の1/3程度の費用で済む在宅での療養を望む傾向が増えている事は想像に難くありません。

これらの事を望む方々の希望を叶えるのが在宅医療であり、厚生労働省の調査においても65歳以上の外来患者の2.8%が在宅医療を受けており、75歳を見れば100人に5人の外来患者が在宅医療を受けている事になります。

では、在宅医療を受ける患者とはどのような背景を持っているのでしょうか?

本来は何らかの理由により通院困難な患者です。

つまり寝たきりや後遺症を負った障害者で慢性的疾患に対する治療を自宅などで継続して受けたい方が対象です。

であれば、退院時や通院困難となった時点で的確な療養計画が立案されており、患者本人もそれを理解した上で積極的に居宅療養を受け入れる体制が整っていると判断されます。

しかし、実際の居宅療養はこのような状況と大きく異なっています。

居宅療養を受ける患者の多くは高齢者であり、高齢者特有の問題が多く存在します。

高齢者における身体的障害の多くは病気ですが老衰に起因する所も少なくありません。

また、「比較的病状が安定しており積極的な治療の必要性が低い患者や認知症などによる判断力が低下した患者」である事もあり、患者本人の病識が薄い場合が多いです。

であれば退院時や通院困難に陥った時点においても加齢による状態変化が大きい、高齢者特有の不定愁訴が多い、病態の急変などのリスクが高い、看護・介護者が患者を支える大きなリスクファクターとなるなどの問題を抱え、かつ状況判断が弱い患者となります。

また、療養するのは患者の自宅であり入院環境とは大きく異なります。

たとえば食事ひとつとっても入院療養は栄養士などにより完全に管理されていますが、自宅は自身や家族・介護職員が作るものであり摂取量も時間も管理されていません。

ベッドなどの備品についても同じものをそろえる事が困難だと考えている患者やその家族が少なくありません。

入院患者の約半数は自宅での療養を可能としている一方、3割強の患者が自宅での療養が困難と考えています。

その原因は、

・療養指導がきちんと受けられるか

・介護サービスを十分に受けられるか

・在宅療養を受けてくれる医師が見つかるか

・いざというときに病院へ行けるのか

・療養に必要な器具が準備できるのか

など多彩な理由が挙げられています。

もちろん、これらは他職種連携により十分対応可能であり、在宅療養における主治医とマネジャーの手腕によるものが大きいです。

これらの患者不安解消の為に、現在は退院時カンファレンスを家族や本人や家族以外に担当ケアマネジャーや訪問介護事務所のサービス責任者を交えて実施する所も少なくありません。

また、看護サマリーやリハビリ計画書・診療情報提供書がケアマネジャーに開示される事も見られる様になってきました。

他職種連携により患者が安心して在宅での療養を受ける事が可能となれば、さらに在宅での療養は第三の医療行為として拡大し、薬局薬剤師の活躍の場も変わってくると判断されます。

参考になさってください。

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