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薬剤師は景気の好不調の波を受けにくい人気の業種です。しかし、人生の多くの時間を費やすわけですから、やはり、よりよい処遇・よりよい人間関係・よりよい職場環境を求めたいものです。一度しかない人生です。ユーザーのみなさまが、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

コラム:生き残る薬剤師とは?「広がる専門薬剤師の可能性」

がん専門薬剤師、感染制御専門薬剤師など、現在、多くの分野で「専門薬剤師」が登場しています。

専門薬剤師とは、特定の領域で医師の負担を分担して、安全で安心できる薬物療法を提供することができる薬剤師のことです。

現在、日本で専門薬剤師として認定されているのは「がん専門薬剤師」「感染制御専門薬剤師」「精神科専門薬剤師」「妊婦・授乳婦専門薬剤師」「HIV感染症専門薬剤師」などがあり、ほかにも専門薬剤師の名称を使っていないものの、各種の認定薬剤師制度があります。

運動生理学に基づく身体の仕組み、運動の効果および指導法等に着目した「ウェルネスファーマシスト」認定制度が発足しました。

厚労省の「健康日本21(第2次)」の「基本的な方針」には、薬剤師は「健康を担う人材」として記載されており、薬物療法以外に薬剤師が関与できる分野が多いことを物語っています。

中でも、日本プライマリーケア学会が認定する「プライマリーケア認定薬剤師」が特筆されます。

プライマリーケアとは、幅広く国民の健康福祉に関わる、あらゆる問題を総合的に解決していこうとする地域での実践活動です。医師、歯科医師、看護師、介護職、福祉職などと、多職種連携を基本としていることも特徴です。

薬剤師は本来、薬学の専門領域での豊かな知識と経験を備え、薬物療法以外にも、日常の健康管理、予防、介護等の相談等に応じられる幅広い知識を有する「ゼネラリスト」としての役割も期待されています。

まさに薬剤師法第1条の実践ですね。

その意味でプライマリーケア認定薬剤師は地域薬局の薬剤師に対する今後の方向性を示すものといえます。

また、ロンドンオリンピックで注目されたアンチドーピング活動に関わる「スポーツファーマシスト」の認定を取得する開局薬剤師も増えています。安易なOTC医薬品の服用などがドーピングに抵触するケースもあり、医薬品の専門家としての薬剤師にとって取得しやすい資格でもあります。

一方、日本病院薬剤師会認定の専門薬剤師などは、従来、開局薬剤師は取得できなかったですが、「がん専門薬剤師」の場合、日本医療薬学会に移管したことで、認定要件が緩和され、開局薬剤師にも道が開けました。

最近は経口抗がん剤が院外処方せんで発行されるケースも多くなっており、開局薬剤師にも専門薬剤師認定の必要性が高まっているため、時宜を得た対応といえます。

専門性を標榜するからには客観的な認定が必要ですが、現在の専門薬剤師制度は国が認定しているものではなく、また統一された機関でオーソライズされているものでもありません。

このため、日本学術会議は「専門薬剤師の育成は、関連学会や団体などの責務であり、第三者機関によって保証された研修・認定の仕組みが必要」と提言しています。

同提言ではさらに、アメリカなどの現状を示しながら、薬剤師が薬物療法に関わることによって、効果や安全の面で有益な結果をもたらすことは国内外で報告されているとして、薬局薬剤師が慢性疾患患者の安定期に、治療モニタリングを行った上で、リフィル処方せんに基づく調剤や、ワクチン接種などが認められれば、医師の負担を軽減、また生活習慣病予防対策やセルフメディケーションの実施において大きな力となり、医療費の軽減に貢献することになるとしています。

今後、専門薬剤師や認定薬剤師に関して関係学会がどのような対応をとるのかも注目されます。

参考になさってください。

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