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薬剤師は景気の好不調の波を受けにくい人気の業種です。しかし、人生の多くの時間を費やすわけですから、やはり、よりよい処遇・よりよい人間関係・よりよい職場環境を求めたいものです。一度しかない人生です。ユーザーのみなさまが、ぜひ素敵な仕事・職場にめぐり合えることを祈っております。

コラム:地場薬局の未来「薬局は商店街の顔だった」

「かつての薬局は“街の科学者”といわれ、地城の尊敬を集めていた」。多くの若い薬剤師は、古き良き時代を懐かしむ先輩諸氏から、このようなことばを聞いたことがあると思います。

そう、確かに“クスリ屋さん”は商店街でも一目置かれる存在だったのです。

薬学は医薬品に限らず、私たちの身のまわりのすべての化学物質を対象とする学問です。

化粧品、洗剤、食品添加物、そして環境汚染物質までも幅広くカバーしています。そのため、薬剤師が常駐する薬局は“よろず相談所”といった役割を果たしていました。

生活者は薬に関すること以外でも、例えば「口紅が服についてしまった」「子どもが夜泣きをして困っている」等々の相談を持ちかけてきたものです。

外科医師でありながら、家業の薬局を継いだファルメディコ(大阪市)代表取締役社長の狭間研至さんは、幼少の頃、旋盤で指を切断した人が「何とかしてくれ」と、当時、母親が経営していたハザマ薬局(大阪市)に駆け込んできたことを思い出すといいます。

薬局で急いで救急車を呼び、病院に運び込みました。薬局で対応できるはずもない事故でしたが、その人は動転していたのか、「とりあえずハザマ薬局に行けば何とかなる」と思い込んでいた のでしょう。

このことは、かつての薬局がヘルスケアのフロントラインとして地域生活者に認識されていたことを物語ります。

医療機関が少なく、国民皆保険制度も整備されていない時代に地域医療を支えてきたのは薬局だったのです。薬局は地域の商店街では常にリーダー的役割を担い、周囲から敬意を払われる存在だったのです。

しかし、人々の生活が豊かになり、車で郊外のショッビングセンターに買い物に出かけるようになって商店街は寂れ、シャッター通りと揶揄されるようになってしまいました。

商店街であちこちの店を買い回るよりも、大型店でワンストップショッピングをした方が便利、と意識するように価値観が変わったのです。その過程で商店街を離れ、調剤専門に活路を見出した薬局もあれば、廃業を余儀なくされた薬局もあります。

分業元年(1974年)以降、旧厚生省は国策として医薬分業推進の政策誘導に乗り出しました。その結果、薬局は調剤で生計を立てることができるようになったのですが、調剤に偏重するあまり、身近な地域医療の担い手としての役割を見失ってしまったようです。

その一方、国の政策誘導に乗り遅れた薬局からはかつての輝きを感じることはできません。漢方専門薬局など特異な世界で信頼を得ている薬局もありますが、OTC医薬品はドラッグストアに奪われ、処方せんは調剤薬局に取られる厳しい状況にあります。

参考になさってください。

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